石英ガラスの特性と加工の課題点 |硬いけれども割れやすい?

高純度の二酸化ケイ素から作られたガラスを石英ガラスと呼び、耐熱性・耐薬品性に優れた特殊ガラスです。
石英ガラスの独特な特性と多岐にわたる用途、加工時の課題について掘り下げていきます。
石英ガラスとは?

石英ガラスとは石英(二酸化ケイ素)だけで構成されたガラスです。
普段目にするガラスも主成分が二酸化ケイ素には変わりないのですが、石灰やソーダ灰などが混ぜられており、二酸化ケイ素の割合は70%ほどなので石英ガラスは不純物を極限まで取り除いたガラスといえます。
また不純物を取り除くことにより、透明度・強度・耐薬品性・耐熱性が普通のものよりも上がっています。
石英ガラスの用途例

石英ガラスはその特性を生かして、以下のような用途で広く使用されています。
光学フィルター
光学フィルターにおいては、石英ガラスが特定の波長の光だけを選択的に透過させる能力を発揮します。
この高度な選択性は、科学研究での精密な測定や、特に医療技術における診断機器で不可欠な要素です。
例えば、紫外線を遮断しながら可視光を通すフィルターなど、特定の用途に合わせてカスタマイズされます。
実験用理化学機器
実験用理化学機器では、石英ガラスの耐熱性と耐薬品性が、厳しい実験条件下でも信頼性の高い結果を得るために必要とされます。
化学反応や高温処理を行う実験では、容器や器具が高温や強酸、強アルカリといった化学薬品に耐えうることが求められます。
石英ガラス製の器具は、その性能を維持しながら、正確な実験結果の再現性を提供します。
半導体装置の部品
半導体装置の部品としては、石英ガラスの高温での安定性と化学的耐性が、製造プロセスの精密さと効率性を支えています。
半導体チップの製造においては、極めて細かい構造を正確に形成する必要があり、この過程で使用される化学薬品や高温に晒される環境から部品を守る必要があります。
石英ガラス製の部品は、これらの過酷な条件下でも性能を損なわず、半導体製造の精度と効率を高めます。
光ファイバー
光ファイバーでは、石英ガラスの高い透過率と低い光の損失率が極めて重要です。
この特性が、データ通信を高速かつ効率的に行う基盤となり、インターネットや通信ネットワークのバックボーンとして機能しています。
データを光信号として長距離にわたって伝送する際に、信号の劣化を最小限に抑えることが可能となります。
石英ガラスの加工性について
脆性材料である
まず、石英ガラスの脆性は、その加工を困難にする主要な要因の一つです。
この材料は非常に高い硬度を誇りますが、それが逆に割れやすさを引き起こします。
そのため、一般鋼などの金属材料のようにバイスでクランプできず、加工に関しても微細なクラックが発生してしまいます。
要求精度が厳しい
次に、石英ガラスの加工には非常に高い精度が要求されることがあります。
そのため、高度な技術と精密な機械設備が必要となり、加工コストの増大を招くことがあります。
用途例でも説明したとおり、石英ガラスは繊細な製品の部品になることが多く、特に光学部品は後述の失透や微妙な加工誤差によって、性能大きく左右されるため、必然的に要求精度が高くなってしまいます。
高温下での失透
また、高温下での失透は、特定の用途での利用を制限する要因となり得ます。
石英ガラスは高温で使用する際、その透明度が低下し、光学的な特性に影響を及ぼすことがあります。
この問題は、特に高温環境下での光学測定や、高熱を伴うプロセスでの視覚的監視が必要な場合に顕著です。
滑らかに仕上げるのが難しい
最後に、石英ガラスの加工時に滑らかな表面を実現することの難しさは、その使用範囲を限定する要因の一つです。
脆性の高い材料であるため、通常のガラス加工技術を用いても、表面に微細な傷が残りやすく、品質や強度に悪影響を与えます。
そのため、特殊な加工技術や後処理が必要となり、加工コストや時間が増加することがあります。
石英ガラス加工は高洋電機にお任せください
石英ガラスはその独特な特性で多くの産業に不可欠な素材ですが、その加工は高度な技術と精密な機械設備を要求します。
脆性の高いこの材料は、微細なクラックが発生しやすく、また高い精度が求められることから、加工は専門の技術者による注意深い取り扱いが必要です。
高洋電機は、特殊な材料の加工にも対応可能な高度な技術力と最先端の設備を有しています。石英ガラスの加工における課題を克服し、お客様のニーズに合わせた高品質な製品を提供します。
耐熱性、耐薬品性、そして高い透過率を持つ石英ガラスのポテンシャルを最大限に引き出すために、高洋電機の技術をぜひご活用ください。
