セラミックスとは|特徴・種類・活用例・加工性について解説
セラミックスは、現代の産業や日常生活において欠かせない多岐にわたる分野で重宝される非金属無機質固体材料です。硬度や耐熱性、耐食性、電気絶縁性といった優れた特性を持ち、電子部品や建材、医療素材、工業用部品など、幅広い用途で使用されています。
本記事では、セラミックスの基本的な特徴や種類、そしてその具体的な活用例について詳しく解説します。
セラミックスとは?
セラミックスとは、「人為的な処理によって製造された非金属無機質固体材料」のことを指します。金属や非金属を問わず、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物などの無機化合物が原料としては使用されます。
その優れた特性により、電子部品、建材、日用品、医療素材、工業用部品など、幅広い分野で活用されており、現代の産業や日常生活に欠かせない材料です。
セラミックスの特徴
硬度が高い
セラミックスは金属よりも高い硬度を持っています。そのため、摩耗や擦り傷に対して非常に強い耐性を発揮します。
硬度が高いセラミックスは、切削工具や研磨材、耐摩耗部品として広く使用され、例えば、機械のベアリングや耐摩耗コーティングなどに利用されます。
耐熱性に優れている
セラミックスの分子構造は高温でも崩れにくいため、セラミックスは高温環境でも安定した性能を維持します。
耐熱性が求められる用途としては、エンジン部品、炉材、耐火材料などがあります。特に、航空宇宙産業や自動車産業での高温部品に多用されています。
耐食性が良好
セラミックスは化学的に安定しており、酸やアルカリ、その他の化学物質に対して優れた耐食性を持っています。この特性により、化学プラントや製薬産業、食品加工産業などでの使用が適しています。
耐食性の高いセラミックスは、腐食の原因となる物質に曝される環境でも長期間使用でき、維持管理のコスト削減にも貢献します。
電気絶縁性が高い
セラミックスは電気絶縁性が非常に高く、電気を通しません。そのため、電子部品や絶縁体、基板材料として広く使用されています。例えば、集積回路(IC)基板、電力機器の絶縁体、電子デバイスのパッケージングなどが挙げられます。
電気絶縁性の高さは、安全性と信頼性を求められる電気・電子機器の設計において重要な要素です。
これらの特性は、セラミックスを構成する原子の結合様式に由来します。セラミックスの原子結合には、イオン結合と共有結合の2種類があり、これらの強い結合が硬さの要因となっています。
セラミックスの種類
セラミックスは、それぞれ異なる特性を持ち、用途や目的に応じて適切な材料が選択されます。製造技術の進歩により、原料の種類や粒子の細かさ、焼成方法を変えることで、さまざまな特性を持つセラミックスを作り出すことが可能になっています。
アルミナ (Al2O3)
最も一般的に使用されるセラミックスの一つで、機械的強度、電気絶縁性、耐熱性、耐摩耗性に優れています。
ジルコニア (ZrO2)
高い強度と靭性を持ち、刃物や宝飾品にも使用されます。耐熱性や耐食性にも優れています。
窒化ケイ素 (Si3N4)
高温での強靭性や耐熱衝撃性に優れ、軽量で耐食性も高いため、エンジン部材などに適しています。
炭化ケイ素 (SiC)
高温でも強度を保ち、軽量で耐食性が高く、優れた耐熱材料です。
チタン酸バリウム (BaTiO3)
高い誘電率を持ち、電気を蓄える性質に優れているため、コンデンサ部品に使用されます。
フェライト
セラミックス磁性体で、透磁率が高く、電気抵抗と耐摩耗性が大きいため、磁気ヘッドや高周波用磁芯に広く使用されます。
コージライト
低熱膨張率を持ち、耐熱衝撃性に優れています。多孔質材料や耐火物に使用されます。
ムライト
耐熱性と耐熱衝撃性に優れ、特にクリープ特性が良好な耐熱材料です。
セラミックスの活用例
セラミックスは多岐にわたる分野で活用されています。主な活用例を以下に紹介します。
電子部品 | 半導体パッケージ コンデンサ 圧電素子(ブザーなど) LED照明の基板や蛍光体 |
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自動車部品 | エンジン部品 センサー 触媒担体 |
医療機器 | 人工関節 歯科用インプラント 人工歯 |
調理器具・食器 | IH用トッププレート 電子レンジ用耐熱ガラス 包丁(ジルコニアセラミックス) 土鍋 |
家電製品 | 空気清浄機のフィルター 除湿機のハニカムローター 遠赤外線セラミックスヒーター |
その他 | 光学レンズ スポーツ用品(ゴルフクラブヘッドなど) 宝飾品(人工宝石) |
セラミックスの加工性
セラミックスは、その高い硬度と脆さを理由に、一般的に加工が難しい材料として知られており、金属や樹脂と比較して加工条件の設定が非常に困難です。
特にクラック(亀裂)の制御が非常に重要であり、クラックが製品内に残ると性能劣化や破損の原因となるため、微細な制御が求められます。
近年では加工技術の進歩により、クラックの大きさと均一性をマイクロメートル単位、さらにはナノメートル単位まで制御できる加工メーカーが増えています。
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