センタレス研磨・センタレス研削とは? |加工の特徴や注意点について解説

センタレス研削・センタレス研磨は、高精度かつ効率的な金属加工技術として、現代の製造業において欠かせない役割を果たしています。

本記事では、センタレス研削盤の基本原理から具体的な研削方法、高精度を実現するための特徴、そして実際の注意点に至るまで、詳細に解説します。

目次

センタレス研磨・センタレス研削とは?

センタレス研削・センタレス研磨は、ワークを回転させながら研削する加工技術です。この技術は、ワークをセンター穴に固定せずに、ブレードと調整砥石で支持することで、連続的かつ高精度な研削を実現します。

センタレス研削盤を用いることで、高い真円度と精度を維持しながら、効率的な加工が可能です。

センタレス研削盤による研削方法

センタレス研削盤には主に以下の2つの研削方法があります。

スルーフィード研削

スルーフィード研削は、ワークを連続的に送りながら研削を行う方法です。この手法では、ワークが常に移動し続けるため、止まることなく次々と加工が進行します。連続的に供給されるワークは、高速で研削されるため、大量生産に非常に適しています。生産ラインに組み込むことで、一貫した製品品質を保ちながら高効率での加工が可能となります。

結果として、製造コストの削減や生産スピードの向上を実現できるのがスルーフィード研削の大きなメリットです。

インフィード研削

インフィード研削は、ワークを固定した位置で研削を行う方法です。この方法では、ワークが動かないため、研削盤自体が必要な形状に応じて移動しながら加工を行います。固定されたワークに対して研削盤が細かく調整されるため、非常に複雑な形状や部分的な研削が可能です。

高精度な加工が求められる部品や、特定の寸法や形状を厳密に維持する必要がある製品に対して、このインフィード研削は非常に効果的です。精密機械部品や特殊な工具の製造において、インフィード研削の技術が重要な役割を果たします。

センタレス研削盤の特徴・メリット

高精度・高能率加工が可能

センタレス研削盤は、ブレードと調整砥石でワークを支持しながら研削を行うため、非常に高い真円度と精度が実現できます。ワークが安定した状態で加工されることで、研削中の振動やずれが最小限に抑えられます。

また、連続的にワークを送り込むことができるため、大量の部品を効率よく加工することが可能です。高精度と高能率を両立させるこの技術は、品質と生産性の両方を重視する現代の製造業において非常に重要な役割を果たしています。

長尺ワークの加工が可能

センタレス研削盤では、ブレードがワークをしっかりと支持するため、長尺のワークでもたわみが生じにくくなります。そのため、長い部品でも高い円筒度を維持しながら加工することができます。例えば、シャフトやロッドなどの長尺部品の製造において、その長さが原因で加工が難しい場合でも、センタレス研削を用いることで均一な仕上がりが得られます。

この特性は、特に高精度が要求される航空宇宙や自動車産業において非常に重宝されています。

加工工程の簡素化

センタレス研削盤は、ワークにセンター穴を開ける必要がないため、加工工程が大幅に簡素化されます。センター穴を開ける手間と時間が省けることで、全体の生産スピードが向上し、コスト削減にもつながります。さらに、センター穴の位置や大きさに関する誤差が排除されるため、製品の精度も向上します。

この工程の簡素化は、特に短納期が求められる生産環境や、多品種少量生産において大きな利点となります。

造円作用による真円度向上

センタレス研削盤の特徴の一つに、造円作用があります。ワークが回転するたびに、微細なひずみが徐々に減少し、最終的には真円に近づいていく特性です。この現象により、加工中のワークは自然に真円度が向上し、非常に高い精度の部品が得られます。

造円作用は、特に高い真円度が求められるベアリングや精密機械部品の製造において、その効果を最大限に発揮します。加工後の製品は、使用時の摩擦や振動が減少し、長寿命と高性能を実現します。

センタレス研削盤の注意点

準備時間がかかる

センタレス研削盤の使用において、ワークの大きさが変わる場合には、調整が必要な部分が多くなります。具体的には、ブレードの位置や調整砥石の設定を変更する必要があります。このような調整作業は非常に精密さが求められるため、時間がかかることが避けられません。

さらに、設定ミスがないように慎重に行う必要があるため、経験豊富な技術者が担当することが多くなります。準備時間が長引くことで、トータルの生産時間が増加する可能性がありますが、精度の高い加工を実現するためには避けられないプロセスです。

熱処理ワークへの影響

センタレス研削は、熱処理を施したワークに対しても影響を受けやすい特徴があります。特に、焼入れ長尺シャフトのような部品では、熱処理によって内部に残る応力が問題となります。研削中にこれらの応力が解放されることで、真円度が悪化することがあります。つまり、熱処理による内部応力が加工精度に影響を与える可能性があるため、熱処理後のワークを扱う際には、特別な注意が必要です。

このような場合、追加の処理や調整が必要となることが多く、全体の加工プロセスが複雑化することがあります。

未熟練者には難しい

センタレス研削盤の操作は、ブレードと調整砥石の位置関係を適切に保つことが求められます。この作業は非常に繊細で、わずかなズレが加工精度に大きく影響を与えるため、経験と技術が必要です。未熟練者が操作する場合、正確な位置調整が難しく、不適切な設定が品質の低下や機械の故障を招く可能性があります。

そのため、センタレス研削の操作には高度な訓練と実践経験が不可欠であり、新人技術者が熟練するまでには時間がかかります。適切な教育とトレーニングが、品質の高い製品を維持するための重要な要素となります。

センタレス研磨・センタレス研削は高洋電機にお任せください

高洋電機株式会社は、高精度機械加工、カスタムメイドの製造を得意としています。

仕上げ加工にも対応可能です。センタレス、円筒研磨は対応できますが、特にハードターニングによる仕上げを得意としています。お気軽にお問合せください。

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