MAT21とは|特性・用途例・加工性について解説
MAT21は、ニッケルを主成分とし、クロム、モリブデン、タンタルを添加した耐食性に優れた合金です。
酸性環境においても高い耐食性を発揮し、その強度はオーステナイトステンレス鋼の1.5〜2倍に達します。
本記事では、MAT21の特性、用途例、そして加工時の注意点について詳しく解説します。
MAT21とは?
MAT21は、ニッケルを主成分とし、クロム、モリブデン、タンタルを添加して耐食性を向上させた合金です。
その優れた特性から幅広い産業分野で注目されていますが、加工の難易度が高く、適切な加工方法の確立にはまだ課題があると言われます。
MAT21の特性
優れた耐食性
MAT21は、酸化性および還元性の両環境に対して非常に高い耐食性を示します。
そのため、さまざまな過酷な条件下でも信頼性の高い性能を発揮します。特に、塩酸や硫酸などの酸性環境においても優れた耐食性を持つため、腐食のリスクが高い場所での使用に最適です。
また、MAT21の耐食性は長期間にわたるメンテナンスコストの削減にも寄与します。
機械的特性
MAT21は、オーステナイトステンレス鋼と比較して1.5〜2倍の強度を誇ります。
この優れた強度により、構造的な安定性と耐久性が向上し、より軽量で高性能な設計が可能となります。
さらに、極低温(-193℃)においても高い衝撃値を維持するため、極端な温度変動がある環境でもその機械的特性を損なうことなく利用することができます。
MAT21の用途例
MAT21は、その優れた耐食性と機械的特性により、従来のステンレス鋼では対応が難しい厳しい腐食環境下での使用に適しています。
さらに、近年では金属3Dプリンター用の造形材としても開発が進められており、複雑な形状の部品製造や、周辺部品との一体化などにも応用が期待されています。
半導体製造装置 | 高い耐食性が要求される部材として使用されます。 |
化学プラント | 腐食性の強い環境下で使用される機器や部品に適しています。 |
医薬品製造プラント | 腐食許容量の小さい環境での使用に適しています。 |
排煙脱硫装置 | 硫酸露点腐食に対して優れた耐食性を発揮します。 |
高温環境での製品 | 1200℃の炉内で使用する製品投入バケットなど、高温環境下での使用に適しています。 |
MAT21の加工性
加工の難易度
MAT21は、その高強度と耐久性のため、加工が難しい難削材として位置付けられています。特に、切削や研削の際に、以下の点に注意が必要です。
工具の摩耗
高硬度のため、工具の摩耗が激しくなります。ダイヤモンドや超硬合金の工具が推奨されます。
切削速度と進行速度
適切な切削速度と進行速度を選択することが重要です。高すぎる速度は工具の寿命を縮め、低すぎる速度は加工効率を下げます。
冷却と潤滑
加工中の熱を効果的に管理するために、冷却剤や潤滑剤を使用することが推奨されます。
加工時の注意点
熱管理
高温により材料の性質が変化するため、加工中の熱管理が重要です。冷却システムの適切な使用が必要です。
工具の選定
工具の材質や形状、コーティングなどを適切に選定することで、加工効率と品質を向上させることができます。
仕上げ
高硬度材料の仕上げには、高精度の測定機器と検査方法が必要です。最終製品の品質を保証するために、厳密な検査を行うことが推奨されます。
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