タンタル加工の難しさとその対策とは?特性や用途例も解説

高耐食性と高融点を持つ希少金属である「タンタル」は、現代工業において不可欠な素材となっています。
しかし、その優れた物性は、同時に加工の難しさをもたらす要因でもあります。
本記事では、タンタルの特性や用途例、加工における主要な課題、そして、これらを克服するための工夫について解説します。
タンタルとは?

タンタルは、原子番号73の第6周期に属する第5族元素であり、元素記号はTaです。
高い耐食性、高融点を持ち、宇宙・航空分野、自動車産業、医療機器、工業機器の部品など幅広い分野で利用されています。
タンタルは電子機器用途にも広く使用されており、スマートフォンやタブレットなどのデバイスに利用されています。
また、熱や電気の伝導率が高いため、電球のフィラメントやタンタルコンデンサなどにも重宝されている素材です。
タンタルの特性

以下では、タンタルが有する特性とその利点について解説します。
高耐食性
タンタルの顕著な特徴の一つは、強酸をはじめとする多くの腐食性物質に対して非常に高い耐性を持っている点です。
例えば、硫酸や王水のような強力な腐食性を持つ液体に対しても、タンタルは劣化や腐食の跡をほとんど残しません。
この特性は、化学反応が頻繁に行われる化学工業の分野で非常に価値があります。
また、医療機器の分野でも、腐食による汚染のリスクを最小限に抑える必要があるため、タンタルの使用が望まれます。
高融点
タンタルは非常に高い融点を有しており、材料としての安定性を高温の環境下でも保持することを可能にします。
高融点は、高温での加工や使用が必要なアプリケーションにおいて重要であり、例えば高温耐性が求められる工業用炉やエンジン部品の製造において、タンタルの使用が適しています。
この特性により、高温下でも材料の構造的完整性が維持され、長期間にわたる使用に耐えることができます。
高伝導率
タンタルは、電気および熱の伝導率が高いという特性を有していることから、電子機器のコンポーネントや熱交換器などにも利用されます。
特に、タンタルの電気伝導率は、キャパシターや高性能の半導体デバイスの製造において重要な役割を果たしていると言えるでしょう。
また、その熱伝導性は、熱を効率的に移動させる必要がある機械的システムや冷却装置においても利用されています。
タンタルの用途例

タンタルは、その独特な特性を活かして多様な産業分野で広く利用されています。
電子機器
電子機器の分野では、タンタルはコンデンサに不可欠な素材として知られています。
タンタル製のコンデンサは、優れた蓄電能力と耐久性を持ち、スマートフォンやコンピューターなどの小型電子機器に広く使用されています。
半導体
半導体業界においても、タンタルの役割は重要です。
半導体の回路基板製造において、タンタルは銅の拡散を防ぐバリア層として機能します。
この特性により、半導体の信頼性と寿命が向上し、より高性能な電子機器の開発に寄与しています。
航空宇宙産業
航空宇宙産業では、タンタルは航空機のエンジンタービンブレードの製造に用いられます。
その高い耐熱性と耐食性は、エンジンの過酷な運用環境においても高い性能を維持するのに役立つため、航空機の安全性と効率性が向上します。
化学分野
化学分野では、タンタルは製薬・医療品の製造において使用される容器や配管などに利用されます。
強酸や強アルカリなどの腐食性物質に対する高い耐性は、化学的安定性が求められる環境での使用に適しています。
タンタル加工の難しさとは?

タンタルは比較的柔らかい材料でありながら、加工硬化しやすく難削材の中でも最高ランクの難しさを持っています。
具体的にどういうことかというと、軟らかいためむしれ・構成刃先ができやすく、加工硬化しやすいので工具摩耗が激しくなります。
そのため通常の加工方法では、まともな加工はできず切削油・切削工具・切削条件このすべてを最適化する必要があります。ですがそのためには十分な研究が必要となり、一筋縄ではいきません。
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